いまさらながらニコニコ生放送のベーシックインカムの話を見たのでまとめてみる
ベーシックインカムって,名前は知っているくらいの理解だったけど,ちょっと良さそうに思えてきた.
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9795672
昨日のニコ生のベーシック・インカムについての議論を文字起こしした
- 起点: 技術革新によって生産活動に必要な労働量が減る
- つまりどんどん機械化される.コンビニとかも自動販売機状態に
- 今でも技術的には可能だが,中国人などを雇う方がコストが安くつくので人がやっているにすぎない
- 今の社会保障制度下では労働者を大量に切れないので労働力過剰で供給能力過剰になりデフレになっている
- これに対して収益性の低い公共事業を打ち出して需給のバランスを図るのは無駄が多い
- というのも遊んでいる労働者や生産設備が往々にして需要の構造とマッチしていないため
- その分の税金をベーシックインカムに回せば,より直接的に需要を増やせるのでインフレに振れる
- 財源は相続税100%とかもあったが,現実的には公務員の削減と消費税アップだろうと思う
- ベーシックインカムのメリットは
- 社会保険制度をベーシックインカムに一元化できる
- 企業は労働者を切りやすくなるので雇用の流動化が進む
- その結果自由競争は今よりさらに激化する
- 優秀な人は職を得て,ベーシックインカムに加えて給料を貰うので収入格差はむしろ増えるが,飢え死にする人はいなくなる.たぶん自殺者も減る
- 雇用の流動化により企業の人材配分の効率化が進み,リストラの結果,企業の収益性は改善される
- いわゆる3Kの仕事はやらなくても生活できるなら,当然やりたがる人が減るので,それがどうしても社会に必要な仕事でかつ機械化できないなら高給が支払われる
- たとえば介護などは給料が上がる
- その結果自由競争は今よりさらに激化する
- 経済は一部の優秀な人の生産性に頼って成長する
- 個々人の収入格差は広がるが,経済全体で見れば成長する?
要するに全ての起点は技術革新によって個々人の生産能力にもの凄い格差が生まれてきたということだろうと思う.優秀なプログラマーはそれこそ文字通り一騎当千の働きをし,アメリカのすべてのアイダホポテトは数百人の大規模農家によって作られる.いままではどんなに優秀な労働者も普通の労働者のせいぜい2,3倍の働きしかできなかったが,コンピュータや農業機械が発達することによって,一人の労働者が100人分の生産をすることすら可能になったというわけだ.当然それによって人が余るわけで,余った人達がバタバタ餓死していくのも困るわけで,国から一括して基礎的なお金は支給しましょうというのがベーシックインカムということになる.
民主党の子供給付金は所得制限をつけないのでイメージとしてはベーシックインカムに近く,布石としていいかもしれない.
もしもベーシックインカムが導入されれば,オープンソースソフトウェア開発にたずさわる人の数は相当増えるだろう.現状では純粋にオープンソース開発だけで生活できる人は少なく,オープンソース開発者の多くは二足の草鞋をはいているという調査もある.彼らは生活の為にソフトウェアを開発するなどしてお金を稼ぎ,本当に開発したいソフトウェアは自ら題材を選べるオープンソースソフトウェアとして開発する.こういった活動に参加している人達は裕福になることよりも開発コミュニティにおける名声を重視するため,基本的な生活が保証されるならオープンソースソフトウェアの開発に注力したいという人は多いだろう.コンピュータソフトウェアに限らず,小説や音楽やアニメなどのコンテンツ産業全体で非商業ベースの開発コミュニティの層が厚くなることが考えられる.
ベーシックインカムなんて導入したらニートばっかりになるぞって主張する人もいるけど,一方では普通に働きながらもさらにタダ働きで生産活動をしているような人達がいるわけで,生産活動自体は無くならない,むしろ増えると思うんだよね.なぜならそういう人達は好き好んで二足の草鞋をはいてるわけじゃないんだから.生活のための仕事という足枷を外してやればもっと沢山生産してくれるに違いない.