「進化しすぎた脳」読了。

「考える脳考えるコンピュータ」と重なる部分が結構多い。アルツハイマーの治療法についての試行錯誤とかのくだり(4章)はとてもエキサイティングだった。
大脳生理学のレベルでの解析で、神経細胞の仕組みとかについては結構分かってきてるんだね。
でもこれはハードウェアのレベルでの話で、問題なのはソフトウェア(意識とか心)がどういうアルゴリズムで実現されているかとか、そのソフトウェアが実際に何をするかとかの高レベルでの理解がなかなか進まないというところにある。
ニューロンの仕組みをそっくりそのまま再現するニューロコンピュータみたいなのができれば知性*1創発させることはできると思うけど、どういう知性ができるかはやってみないと分からないと思う。再現性があるかどうかもあやしい。ハードウェアのレベルでの理解しかないと肝心の知性の仕組みはブラックボックスになっちゃう。
この辺の話は「脳の計算理論」の1章と関係してる。高次のソフトウェアのレベルの入出力は外部からでも観察できるのでそれを再現する計算モデルを作りましょうという話だったように思う。

*1:人間がそれを知的と判断できるかは別として。人間の脳は人間の体に最適化されているから、人間と似たような体を与えないと人間のような知性は生まれないだろうという話もあった。