宇宙飛行士養成キーボード

ときに,Jargon Fileに"space-cadet keyboard"なる項目がある.
http://www.catb.org/~esr/jargon/html/S/space-cadet-keyboard.html

A now-legendary device used on MIT LISP machines, which inspired several still-current jargon terms and influenced the design of EMACS. It was equipped with no fewer than seven shift keys: four keys for bucky bits (~control~, ~meta~, ~hyper~, and ~super~) and three regular shift keys, called ~shift~, ~top~, and ~front~. Many keys had three symbols on them: a letter and a symbol on the top, and a Greek letter on the front.

曰く,MITのLISPマシンのキーボードには少なくとも七つの修飾キー*1があって,今なお伝説として語り継がれているらしい.
現在使われているのはせいぜいShiftとControlとAltくらいだろうが,Emacs使い(というか俺)の深層心理には多数の修飾キーを使いたいという現代においても色褪せない欲求が渦巻いている…!
自分の場合,具体的にはShift,Control,Altの他にModeSwitchとMetaというキーを定義して都合五つのモードを切り替えながら使っている. ModeSwitchの目的はホームポジションの位置で最上段のキーにアクセスする手段を提供することにある. これによって修飾キーは増えたが実際に打つキーの数自体は減った. UNIX環境においてはMetaとAltは同一視されるのが普通だがそれも設定次第でどうとでもなる. emacsではAltキーとの組み合わせでw3mやeshellが一発起動するようにしているためにぽんぽんバッファを入れ替えつつ作業でき,蝶・便利.
しかしこういった変態配列に一旦慣れてしまうとX-windowが機能していない環境下で途端に弱体化してしまうという点で諸刃の剣でもある. 黒澤明の『用心棒』の主役の用心棒が刀を奪われた状態ではめちゃめちゃ弱かったのと似たようなもんである. 大学の友人にこのキーマップの優位性を熱く語ってみても大体反応は冷たい. 結局のところみんなが使ってるのは例外無く普通の日本語キーボード配列なんだよなー. デファクトスタンダードに甘んじていていいのか!!

*1:Shiftキーのように,それと組み合わせて他のキーを押すことでそのキーの挙動が変化するようなキーのこと