手書きと脳の話

聞いた話だが、昨日のクローズアップ現代でコンピュータに漢字変換を頼るために字が書けなかったり、意味を理解できなかったりする人が増えているとか言っていたらしい。なるほど文字を書くという作業は絵を描くことに似ていて、紙の上でのレイアウトや文字の形、色、濃さ、筆記用具の持ち方から色々と考えなければならないことが多いので、脳を沢山使うらしい。fMRIか何かを使って実際の脳の活動をモニタリングしたりもしていたそうだ。工場で、機械に書いてある但し書きの「差異」という漢字の意味が分からずに間違った運用をして一日に180万円の損失を出した話とかが紹介されていたらしい。(流石にそれは極端な例か、あるいは劇団の人なんじゃないかと思ったりもしたが)
そういえば積ん読状態だった

考える脳 考えるコンピューター

考える脳 考えるコンピューター

を発掘したので、忘れないうちに一気に読もう。
この人が人間の知能について重要だと思っていることが

  1. 時間の概念
  2. 実際の神経回路は、感覚器官から脳に向かう神経の数よりも脳から感覚器官へ向かう神経の数の方が多い。逆方向の情報が重要
  3. 実際の神経回路は三層とかではなくてもっと多層の構造をしている

の3点で2.を満たす例として自己連想的なニューラルネットが例示されている。それは自分の出力を入力として使う。曲の最初の部分を食わせて、その曲の残りの部分を想起させる実験など。
まだ三章までしか読んでない。

東証のシステム開発の中の人の話

昨日は東証の鈴木さんという人が豊洲校舎で講演していった。技術的なことというよりも最近の証券取引のトレンドというか、今年の一月のライブドアの件で東証の機能が一時ストップしたこともあって、システムに要請される負荷の増加についての話題が多かった。重要だと思ったところをまとめると

  • トランザクションの指数関数的増加*1
  • その原因はネットからの利用者をはじめ、投資家側がコンピュータ化されてきたこと
  • あるいは日本は良くも悪くも政府主導の経済だったのが自由化の傾向にあるため
  • 少額の取引を大量に行う傾向にある
  • 最終的には自動売買ソフトウェアによる取引になっていくだろう*2

こうなってくると市場全体(売り手、買い手、仲介者)がコンピュータ化されるわけで、株式市場全体が企業価値定量するための分散人工知能みたいになるのか、あるいは別のところに発散するのかが気になるところである。

*1:携帯電話などの新技術が普及していく速度が指数関数的になるということを言っていた。結果、需要の急増に対してインフラが追いつかないという現象が起こる。

*2:NASDAQでは既に取引全体の25%がアルゴリズム的に行われているとか。結果として約定率が10%程度にまで下がっているとか